渚の霧に現れた津波で死んだ妻
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どんな伝承か
土淵村の助役北川清という人の家は字火石にあり、代々の山伏であった。清の弟の福二は海岸の田の浜へ婿に行ったが、先年の大海嘯に遭って妻と子を失い、生き残った二人の子とともに元の屋敷の地に小屋を掛けて一年ばかりいた。夏の初めの月夜に便所へ起き出したが、行く道も浪の打つ渚である。霧の中から男女二人が近寄るのを見れば、女はまさしく亡くなった妻だった。跡をつけ、船越村の方へ行く崎の洞のある所まで追って名を呼ぶと、振り返ってにこと笑った。男も海嘯に死んだ同じ里の者で、今はこの人と夫婦になっているという。二人は小浦へ行く道の山陰を廻って見えなくなった。
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
現代民話考 ― 死の知らせ・あの世へ行った話(松谷みよ子・民話・口承文芸・昭和)
松谷みよ子『現代民話考 ― 死の知らせ・あの世へ行った話』を小話単位で全699話収録。死の知らせ・予兆、あの世(地獄・極楽)へ行った話、死者からのサイン、生まれかわりなど、生死とあの世にまつわる現代の民話を全国から採集し地域・話者つきで収録する。各話に採集地(都道府県・市区町村)と話者・回答者を可能な範囲で付す(県判明606話・市区町村判明489話、戦地や場所不明の話を含む)。原典は読者からの投稿・採訪に基づく現代民話の集成。
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