晩翠邸に霊媒を招いた交霊会
どんな伝承か
長男英一の死と松島湾の短艇部遭難という二つの出来事をきっかけに心霊現象を信じるようになった詩人土井晩翠は、盛岡の霊媒小林ひさをしばしば自邸に招き、心霊研究会を開いて英一の霊と対談するようになった。この席には多くの人が招かれ、あるとき筆者の前にも英一の霊を受けた霊媒が来て「白川君」と声をかけたが、筆者には不思議な時間の浪費に過ぎないように思われたという。晩翠邸におけるこの交霊会が回を重ねるうちに、参加した青年たちの間から研究してみてはどうかという話が出て、戦後の昭和二十一年に東北心霊科学研究会が結成された。会長には筆者が挙げられ、顧問に福来友吉、土井晩翠、志賀潔を推戴した。
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
心霊と神秘世界(福来友吉・1932年(昭和7年))
『心霊と神秘世界』は、文学博士福来友吉が著し、昭和七年に人文書院から発行された心霊研究と仏教思想の書である。御船千鶴子・長尾夫人・三田光一らの透視と念写をはじめ、霊の幻化、念動、物質化など国内外の心霊現象を実験記録とともに論じ、後半では自我・神秘世界・霊と生命を真言密教や華厳の教えによって説く。全五編からなり、この本文は昭和五十七年に心交社が出した復刻版で、梅原正紀・井村宏次らの「解説研究編」を付している。