唐行きを試された直と京都の天理教会
どんな伝承か
唐へ行ってくれという神示を受けていた出口直は、明治二十七年五月八日に改めて指図を受け承知した。供を申し出た都倉の吉五郎の妻トキを待ちきれず、六月八日に一人で八木を出る。亀岡の大橋亀次郎の家では、大和へ行かずとも綾部で人助けをせよと諭されたが聞かず、王子でトキと落ち合って京都へ向かった。河原町の天理教会では七人の先生が直の筆先を見ておみきさんの筆先に似ていると言い、神前に出ると直の体が荒れて神が語り出したが、先生たちは真偽を決めかねた。翌朝宿で筆先を書かされ、それを置いて帰れと告げられて王子へ戻ると、神は行く気があるか試したのだと喜んだという。
原典より
河原町の教会へ行きたら、先生が七人居りて、出口の筆先を見せいと申して、奥室へ持ちて入りて見たれば、天理王のおみきさんの筆先に似て居る事で御座りますと、…—— 近代日本霊異実録(笠井鎮夫・霊異・神憑り実録・1966年(昭和41年)) より引用地図で位置を見る
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
近代日本霊異実録(笠井鎮夫・霊異・神憑り実録・1966年(昭和41年))
『近代日本霊異実録』は、笠井鎮夫が著して昭和四十一年に昭森社から初版を出した、幕末から近代の神憑りと霊異の記録で、ここに収めるのは昭和四十八年に山雅房から出た複刻版である。金光教・黒住教・天理教・大本の教祖の神憑り、井上正鉄の求道、宮地常磐・堅磐父子や河野至道の神仙譚、天狗の弟子寅吉の話、長南年恵の奇跡などを、手記・写本・旧著を引いて語る。全十二録からなり、第一録には金光教に入信した著者の父の手記を収め、巻末にあとがきと著者略歴を置く。