代々木の家へ魂を飛ばす実験
どんな伝承か
研究所の女子研究員が怪談の類を頭から否定するので、腹を立てた語り手は、今晩きみの家へ魂を飛ばして証拠を置いてくると宣言した。その夜、寝床に座り、代々木駅から出発するつもりで景色を思い浮かべる。駅から郊外の方へ進んで路地を右へ折れると、目の前にガードがあり、土手の下に畠が見えたところで思考がぷつりと切れた。翌日それを話すと、彼女はガードは小田急だと答え、家はその畠の前を左へ曲がった右側だと明かした。次の晩は寄り道せずに部屋へ入った気になり、腎臓に念を三十分ほど集中した。翌日、彼女は普段なら朝まで起きないのに七、八回も便所へ立ったと言ったという。
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
山とお化けと自然界(西丸震哉・山岳・怪異エッセイ・1990年(平成2年))
『山とお化けと自然界』は、西丸震哉が旧著三冊を編み直し、一九九〇年に文庫版あとがきを付けた随筆集である。山や湿原の探検、チョウや小動物とのつき合い、酒の話とともに、横尾谷の岩小屋で出会った幽霊、木曾御岳の人魂、亡兄との交信、テレパシー、呪い殺しの実験、雨やみの術など、著者自身の体験した怪異をつづる。生き物・酒・山・兄との交信の四部からなり、あとがきに『未知への足入れ』『山だ原始人だ幽霊だ』『山の動物誌』を元にしたと記す。