代々木の家へ魂を飛ばす実験
どんな伝承か
研究所の女子研究員が怪談の類を頭から否定するので、腹を立てた語り手は、今晩きみの家へ魂を飛ばして証拠を置いてくると宣言した。その夜、寝床に座り、代々木駅から出発するつもりで景色を思い浮かべる。駅から郊外の方へ進んで路地を右へ折れると、目の前にガードがあり、土手の下に畠が見えたところで思考がぷつりと切れた。翌日それを話すと、彼女はガードは小田急だと答え、家はその畠の前を左へ曲がった右側だと明かした。次の晩は寄り道せずに部屋へ入った気になり、腎臓に念を三十分ほど集中した。翌日、彼女は普段なら朝まで起きないのに七、八回も便所へ立ったと言ったという。
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
山とお化けと自然界(西丸震哉・山岳・怪異エッセイ・昭和(戦後))
西丸震哉『山とお化けと自然界』を篇単位で収録。完全装備で岩小屋前を通過する遭難者の幽霊目撃、木曾御岳の人魂たち、カラステングがタコを食う、亡き兄との交信やテレパシー(死者との通信)、幽霊の仮説・怪談といった山岳怪異譚を軸に、呪い殺しの実験・雨やみの術・日蝕と雨やみの術などの呪術、山の昆虫・メスネコの生涯・ヤマネとムササビ・ミミズク等の自然観察、酒・山旅・会津の秘境/栗駒山密林などの紀行随想を収める。