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炭取を回して通り抜けた老女

所在地岩手県遠野市
年代不明(伝承)
登場死んだ曾祖母、祖母と母、狂女の娘
出典日本の幽霊たち ― 怨念の系譜

どんな伝承か

佐々木氏の曾祖母が年老いて死去し、棺に納めて親族が集まり、その夜は一同座敷に寝た。死者の娘で、乱心のため離縁されて戻っていた婦人もその中にいた。喪の間は火の気を絶やすことを忌む土地の風なので、祖母と母の二人だけが大きな囲炉裏の両側に座り、母は傍らに炭籠を置いて折々炭を継いでいた。ふと裏口の方から足音がして来る者を見ると、亡くなった老女である。腰をかがめ、裾を三角に取り上げて縫い付けた着物も縞目も見覚えのままであった。二人の座る炉の脇を通るとき裾が炭取に触れ、丸い炭取なのでくるくると回った。母が見送っていると、狂女がけたたましく叫んだ。

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※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません

出典の文献について

日本の幽霊たち ― 怨念の系譜(阿部正路)

『日本の幽霊たち――怨念の系譜』は、阿部正路が著した日本文学の幽霊論である。『竹取物語』『源氏物語』『平家物語』などの物語、『今昔物語集』から『遠野物語』『聴耳草紙』に至る説話、能と歌舞伎、さらに三遊亭円朝・泉鏡花・森鴎外・小泉八雲らの近代の作品に現れる幽霊をたどり、怨念の系譜として読み解く。第一章で幽霊の時・季節・姿・場・目的を論じたのち、物語・説話・能と歌舞伎・近代の章を立て、終章で稲生屋敷の物怪や百鬼夜行など幽霊の周辺に及ぶ。

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幽霊遠野物語通夜死者炭取

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