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十一月二十日の夜に現れた坊主

所在地東京都文京区(服部坂)
年代安永期・十一月二十日の夜
登場深見新左衛門
出典日本の幽霊たち ― 怨念の系譜

どんな伝承か

『真景累ヶ淵』で、深見新左衛門が妻の死を病死と偽り、年の暮れに野辺送りを済ませた後のこと。年が明け春になっても深見の屋敷は陰気に沈んだままで、夏が去り秋も過ぎて冬になった十一月二十日の夜、一人の坊主が現れた。頬骨がとがり小鼻が落ち、目元がくぼみ、頬からあごにごま塩のひげがまだらに生えた、痩せこけた姿であった。新左衛門が刀を抜いて斬りつけると、坊主はひとかたまりの陰火となり、ぼんやりと生垣を越えて去っていった。物語ではこの十一月二十日が、その後も繰り返し災いの日となる。

原典より

深見が一刀を引抜いて切りつけると「一團の陰火が、髣髴として生垣を越えて」ゆくのだった。—— 日本の幽霊たち ― 怨念の系譜(阿部正路) より引用
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出典の文献について

日本の幽霊たち ― 怨念の系譜(阿部正路)

『日本の幽霊たち――怨念の系譜』は、阿部正路が書きおろした日本文学の幽霊論で、刊行は日貿出版社が手がけた。『竹取物語』『源氏物語』『平家物語』などの物語、『日本霊異記』から『遠野物語』『聴耳草紙』に至る説話、能と歌舞伎、さらに三遊亭円朝・泉鏡花・森鴎外・小泉八雲らの近代の作品に現れる幽霊をたどり、怨念の系譜として読み解く。第一章で幽霊の時・季節・姿・場・目的を論じ、終章で稲生屋敷の物怪や百鬼夜行など幽霊の周辺に及ぶ。

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