田山峠で四つに割れた月
どんな伝承か
著者の父と従兄が体験した話。二人は盛岡から鹿角へ夜の山道を車で帰る途中、田山の峠にさしかかって頂上で車を止めた。月明かりの下界を眺めながら放尿していると、正面の見事な満月のほかに、右手の雲間からもう一つ真ん丸い月がぽっかりと現れた。月が二つあると言い合ううち、正面の月の輪郭がぼやけ、四つに割れて小さな球となり一列に並んだ。光は金色からオレンジに変わり、あっという間に四方へ飛散して視界から消えた。じわじわと恐怖に襲われたのは峠を下りてからだったという。
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
黄昏綺譚(高橋克彦・幽霊・怪異体験・現代)