夢に見た沢の水で母を救ったオイセ
どんな伝承か
オイセとチョウセイという仲のよい姉弟が、長患いの母を柴を売って養っていた。弟は母の病気平癒を願って伊勢参りに旅立ち、姉は一人で山の柴刈りを続けた。ある日、うたた寝の夢で沢の奥の細い樋から流れる水を飲むと渇きも疲れも消えたので、目覚めて行ってみると本当に水が流れていた。飲むと甘く、背負った柴まで軽くなった。その水を母に飲ませると、病は紙をはがすように日ごとに快くなった。柴も多く取れて暮らしは豊かになった。近所の人が汲んでも効き目はなかったが、オイセが汲んだ水は効くので遠方からも病人が訪れ、礼の品が届いて、オイセの家は村一番の分限者になったという。
原典より
かうして毎日水を飲ませたら、母の病気は一枚々々紙をはぐやうに良くなって、もとの体に治った。—— 佐々木喜善全集 1(佐々木喜善・佐々木喜善全集・1986年(昭和61年)) より引用地図で位置を見る
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
佐々木喜善全集 1(佐々木喜善・佐々木喜善全集・1986年(昭和61年))
『佐々木喜善全集 1』は、佐々木喜善の著作を遠野市立博物館が編集・発行し、昭和六十一年に刊行した全集の第一巻である。岩手県の遠野・江刺・紫波・岩手などで聞き集めたザシキワラシの話、昔話、伝説を、村の古老や知友からの聞き書きと手紙による報告をもとに収める。「奥州のザシキワラシの話」「江刺郡昔話」「紫波郡昔話」「東奥異聞」「老媼夜譚」「聴耳草紙」に小篇を加えて並べ、巻末に遠野市教育長の跋と奥付を置く。