東大寺で白鷺と狐の闘い
どんな伝承か
『日本紀略』によると、寛仁二年九月十六日の御卜で、東大寺から次のような報告があった。前の月の十三日に白鷺と狐が闘い、そのあいだ大仏殿の中は闇夜のように暗くなり、大仏の顔と体から汗が出たという。狐の出現やふるまいが凶兆とされた古い記録の一つとして、著者は続日本紀や三代実録の記事と並べてこれを挙げている。
原典より
寬仁二年九月十六日辛酉御卜、東大寺言上、去月十三日白鷺與狐 闘。—— 動物妖怪譚(日野巌・日野巌・動物妖怪譚・1926年(大正15年)) より引用地図で位置を見る
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
動物妖怪譚(日野巌・日野巌・動物妖怪譚・1926年(大正15年))
『動物妖怪譚』は、日野巌が大正六年に筆を起こし、大正十一年の跋と大正十五年の再記を添えて著した伝説の動物の研究書である。鬼・天狗・河童・人魚・雪女・龍・雷獣・狐・狸・獏・鯰・猫など二十六の項目を立て、記紀や万葉集から近世の随筆までの記事を原文の引用ごと示して起源と変遷をたどり、動物学の知識で正体を考える。總論で起原・歴史的変遷・分類などを論じ、結論では迷信から科学へ近づくことを説いて閉じる。