神送りの日に消え天井に落ちた子
どんな伝承か
愛知県北設楽郡の段嶺村では、明治四十年ごろの旧九月三十日、神送りの日の夕方、家族が神への供え物の白餅を作っている間に、土間にいたはずの子供の姿が見えなくなった。神祭りを済ませても現れず大騒ぎになったところ、母屋の天井から何かが落ちる音がし、はしごをかけて上ると子供が倒れていた。気の抜けたような様子で、お宮の松の木の下にいたら知らない人に連れられ、大勢と木の梢を渡り歩いて白餅や汁粉をごちそうになったのち、天井へ投げ込まれたと語ったという。
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
河童・天狗・妖怪――民俗随筆(武田静澄・武田静澄・民俗随筆・1956年(昭和31年))
『河童・天狗・妖怪――民俗随筆』は、武田静澄が昭和三十一年に著した民俗随筆である。天狗と神かくし、河童、座敷わらし、山の神と山の妖怪、狐狸とつきもの、水辺や海の亡霊、死霊と御霊などをめぐる伝承を、『今昔物語』などの古典の説話と各地の民俗の事例から集めて語る。短い見出しを立てた小文を連ねる形をとり、神かくしにあう心理や幻覚、お化けの心理にも触れて、妖怪を信じる心のはたらきを考える。