水カゴで一夜籠らされる男たち
どんな伝承か
川東一帯の水田は昔から小田川の水に頼っており、上流に大きな堰堤を築いて川桁や月ノ輪の耕土まで満々と潤していた。上流は三本あり、冷たい笹川の水は本流へ落とし、大滝川と猪ノ鼻川の水を本流より高い導水路で小田の耕土へ注ぎ入れる大工事の跡がいまも残っている。この用水路の入口を土地では水カゴと呼ぶ。夏の陽気のよい夕方にここまで独りで水取りに行くと、よく狐に化かされたという。化かされた者は必ず一夜泊められ、腹をすかせて解放されるが、泊まりの様子を聞くと決まって御堂で籠らされたと答えた。食べ物は持って行かず、煙草入れを下げて行けば決して化かされないといわれた。
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
猪苗代町史 第2集(民俗編)――昔話と伝説(猪苗代町(編)・猪苗代町史)
『猪苗代町史 第2集(民俗編)――昔話と伝説』は、猪苗代町の町史民俗編のうち、第十一章「昔話と伝説」を収めたものである。町内の話者から聞いた方言まじりの昔話と、楊枝峠の力松、皿沼物語、木地小屋村の大蛇、大恩寺の化け灯篭、首なし地蔵、吾磐椅の鬼婆、磐梯明神など、町内の地名や寺社にまつわる伝説を載せる。昔話は動物昔話と本格昔話に分け、伝説の末尾に『新編会津風土記』『耶麻郡誌』などに載る伝説の題を挙げた伝説追補を付す。