五万堂谷の金櫃と狐の妄執
どんな伝承か
昔、山潟村の安部庄吉家の先祖が五万堂山へ春の柴伐りに入ったとき、山の北麓で水を求め、湧き水のあった五万堂谷を弁当箱の蓋で掻きさらって掘ると、中から不動尊像が現れて出てきた。その姿を祀ったのが錦水不動尊であるという。またこの五万堂谷には、石櫃の中に多額の大判小判を入れて埋めてあると伝えられるが、いまだ見つけた者はいない。ひそかに金櫃を掘りに山へ入った者はみな狐に化かされ、湊志田の湖岸まで放り出されてから気がつき、疲れ呆けて帰って来る。それで狐に化かされた話を聞くと、あいつも金櫃掘りをやったなと人々が噂したという。
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
猪苗代町史 第2集(民俗編)――昔話と伝説(猪苗代町(編)・猪苗代町史・自治体史(民俗))
福島県猪苗代町(会津)に伝わる口承を語り手付きで網羅する。昔話は猫と単・ほととぎす・かちかち山・猿蟹合戦などの動物昔話、五月節句の菖蒲とよもぎ・澄子と清子・朝鮮の桃太郎・話三両・亀ヶ城の女中の一つ目小僧・花咲爺さん・竹の子童子・猿むこ入り・笠地蔵・こぶ取り爺さん・姥捨て山・片目の爺さまなどの本格昔話を収める。