岡山城竹の間でうなされる柱
どんな伝承か
備前岡山城の本丸、殿の寝所から二間おいた五十畳の竹の間には、誰にでも祟る柱があった。夜ごと二十人の若侍が宿直するが、新たに夜詰を命じられた者は、必ずこの柱の洗礼を受ける。古参は柱の前の一筋を空けて床を敷き、何も知らない新参を親切ごかしに柱の前へ寝かせる。眠った新参は踏まれ蹴られる夢にうなされ、油汗を流して叫ぶが、周りの者は起こさずに見ているだけ。起こした者が今度はうなされるからで、隣の間のお茶坊主玄斎が来て背を叩き目を覚まさせる。この柱は、関ヶ原の後に城主となった小早川秀秋が狂い死にしたとき寄りかかっていた柱だと、茶坊主は語ったという。
原典より
備前岡山の城中、御本丸の竹の間の柱には、誰にでも祟る不吉な柱がある。—— 民俗怪異篇(磯清・磯清・民俗怪異) より引用地図で位置を見る
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
民俗怪異篇(磯清・磯清・民俗怪異)
『民俗怪異篇』は、磯清が著した民間の怪異をめぐる随筆集である。馬を襲う魔物ギバとその禁厭、阿波の首切れ馬「夜行さん」、姫路城の刑部姫や猪苗代城の亀姫などの城の怪、化け猫、灯火による占い、秩父三峰の狼の信仰と狼の怪、怪談を題材とする落語を取りあげ、各地の言い伝えや古い記録を引きながら語る。序に続いて「馬の災と馬の怪」「城の主」「猫」「灯の占」「狼の噂」「落語に存在する怪談」の六篇を置き、それぞれを小見出しの短い話に分ける。