萩の火葬場で産声を上げた死産児
どんな伝承か
昭和二十七年九月、山口県萩市の火葬場で、死後五十四時間もたった死産の赤ん坊が、炉の火と煙の中で産声を上げて息を吹き返し、母親の腕に抱かれたという。生き返った赤子は、周りの人々から、この子はきっと長生きするにちがいないと祝福されたと伝わる。一度死んだ者は長生きしないという舞鶴あたりの言い伝えとは、ちょうど逆の受け止め方である。
原典より
山口県萩市の火葬場の釜の火煙の中から、死後五十四時間も経過した死産児がオギァオギァと蘇生して母親の手に抱かれたのは昭和二十七(一九五二)年九月のこと。—— 日本人物語5――秘められた世界(関敬吾(編)・日本人物語) より引用地図で位置を見る
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
日本人物語5――秘められた世界(関敬吾(編)・日本人物語)
『日本人物語5――秘められた世界』は、日本人の暮らしの奥にある秘められた信仰や伝承を扱った叢書『日本人物語』の一冊である。境の神や通過儀礼を論じる序論に続き、入らず山や隠れ里、竜宮、平家谷、埋蔵金、生まれ代わり、あの世を見た話、魔法使い、生霊、秘密結社、狐憑きなどを、伝承と昭和三十年代までの新聞記事・見聞を織りまぜて述べる。序論「生活文化の秘密性――はじめに」の後、「奇蹟」「不気味な神々」などの区分の下に短い節を並べる。