藻岩山の山鳴りと疱瘡の兆し
どんな伝承か
エンガルシュペ、すなわち今の藻岩山は、この付近きっての霊山とされてきた。岩内あたりで雷電峠が鳴れば風が吹くと漁師が警戒するのと同じように、この山が鳴ると大吹雪が来るか、疱瘡が流行るか、何か悪いことが起こるといわれ、山へ狩りに入っていた者は皆逃げ帰ったという。また疱瘡が村に流行り出したときに人々が逃げ込んだのも、この山であった。山の中腹にはカムイシュネと呼ばれる灯火が、ときおり見えることがあったとも語られている。
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
日本伝説大系 第1巻(日本伝説大系編集委員会・日本伝説大系(みずうみ書房))
『日本伝説大系 第1巻』は、叢書『日本伝説大系』のうち北海道と青森県の伝説を収めた巻である。人間の始めやコロポックル、アイヌの神謡、岩木山一代記、おしら祭文、義経や弘法大師の事跡、狐や大蛇の話、地名や神社の由来などを、口承の資料を中心に採る。伝承地を記した例話を冒頭に置き、〔類話〕〔文献〕〔参考〕の欄で各地の類話の梗概と近世以後の文献の原文を添える編み方をとる。