徳山大神宮の桂と大蛇の願い
どんな伝承か
福山の徳山大神宮では、本殿の脇に樹齢数百年という桂の大木が立つ。昔、この宮の別当を務めた白鳥某の枕元に白髪の翁が現れ、自分はバッコ沢の奥に棲む大蛇で、海へ出て天に昇り龍になりたいが、この桂の枝に遮られて動けないから伐ってほしいと頼んだという。しかし大蛇が海へ下るときは雲を呼び、大雨を降らせ、洪水の波に乗って出るとされる。松前の町が流されては困ると考えた別当はついに伐らず、木は今も大枝を広げている。幹には注連縄が張られ、手をつなぐと六、七人が並ぶ太さだと伝わる。
原典より
福山徳山大神宮の本殿横に、何百年もたった大きな桂の木があります。—— 日本伝説大系 第1巻(日本伝説大系編集委員会・日本伝説大系(みずうみ書房)) より引用地図で位置を見る
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
日本伝説大系 第1巻(日本伝説大系編集委員会・日本伝説大系(みずうみ書房))
『日本伝説大系 第1巻』は、叢書『日本伝説大系』のうち北海道と青森県の伝説を収めた巻である。人間の始めやコロポックル、アイヌの神謡、岩木山一代記、おしら祭文、義経や弘法大師の事跡、狐や大蛇の話、地名や神社の由来などを、口承の資料を中心に採る。伝承地を記した例話を冒頭に置き、〔類話〕〔文献〕〔参考〕の欄で各地の類話の梗概と近世以後の文献の原文を添える編み方をとる。