呼石に泊まった三人の姉妹神
どんな伝承か
天から三人の神の娘が下り、稗貫郡八重畠村字呼石という所で日が暮れて泊まった。明朝いちばん早く目覚めた者が、秀麗な早池峯山に飛び入ってその主神になろうと約束して眠りについた。ところが末の妹娘は宵のうちから眠らずにいて、夜半に鶏が鳴くといち早く早池峯山へ飛んでいった。次に目を覚ました中の娘は湯本村の麓山権現へ飛んでその神となる。いちばん遅く目覚めた大姉が妹たちを声のかぎり呼ぶと、その声が石に反響して自分に返ってきた。それでその土地を呼石と称するようになったという。大姉は大森山と小森山を重ねて住もうとしたが夜が明けて果たせず、胡四王山に飛んでその神となった。
原典より
<柳田―「山の姉妹」>昔、天から三人の神の娘どもきて、同郡八重畠村字呼石という所に日暮れてゆき泊まった。—— 日本伝説大系 第2巻(日本伝説大系編集委員会・日本伝説大系(みずうみ書房)) より引用地図で位置を見る
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
日本伝説大系 第2巻(日本伝説大系編集委員会・日本伝説大系(みずうみ書房))
『日本伝説大系 第2巻』は、岩手・宮城・秋田の三県に伝わる伝説を話の型ごとに集めた伝説資料集である。山の争いや沼の主の手紙、巨人の足跡、八郎太郎、ザシキワラシ、河童、掃部長者などの伝説を、口承の聞き書きと近世以降の地誌・縁起から採る。凡例のとおり各項は伝承地を示した例話を冒頭に据え、〔類話〕〔文献〕〔参考〕を続け、柳田・高木による話型名を添えた項もある。