大工から僧になったという安珍説
どんな伝承か
西牟婁郡中辺路町で語られた話。真砂とちょうど川を隔てた向かいで、かんかん大工をする若者が真砂庄司の娘の清姫に惚れた。いくら惚れても大工では駄目だ、向こうは名門だから、娘と添い遂げたければ出家せよ、坊さんになれば武士階級の上に座れる、そうすれば話はなるかもしれぬと言われて、なったのが安珍と称する坊さんだったという。もっともそれほど惚れたのなら清姫を捨てて逃げるのもおかしいが、修行ということになれば、そういう色恋を捨てて進んでいくのが本当かもしれない、そういう話もある、と語られている。
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
日本伝説大系 第9巻(日本伝説大系編集委員会・日本伝説大系(みずうみ書房))
『日本伝説大系 第9巻』は、日本伝説大系編集委員会が編んだ伝説資料集の一巻である。三重・奈良・和歌山・大阪の各地に伝わる伝説を、三輪山・安珍清姫・弘法清水・油掛け地蔵など百余りの話型ごとに集める。各話型は例話を冒頭に据えて『日本伝説名彙』などとの対応を示し、〔類話〕に伝承地と出典つきの梗概を並べ、〔文献〕に近世以前の史料の原文を添えて補う構成をとる。