長柄橋の古材で刻んだ笑地蔵
どんな伝承か
『摂陽群談』巻十二によれば、後一条院の御代、群臣に詔して長柄橋の古い橋杭のうち水底に折れ残ったものを掘り出させた。その木を用い、仏工に命じて丈一尺あまりの地蔵尊を彫刻させ、ここに寺を創った。そのとき仏が微笑したので、時の人はこれを難波津の笑地蔵と呼んだという。あるいは藤原公任卿がこの尊像を拝して、長柄江や藻にうつもる橋柱また道かへて人わたすなり、と和歌を詠んだところ、そのとき仏が微笑したとも伝える。いずれも当院の寺記によるものである。
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
日本伝説大系 第9巻(日本伝説大系編集委員会・日本伝説大系(みずうみ書房))
『日本伝説大系 第9巻』は、日本伝説大系編集委員会が編んだ伝説資料集の一巻である。三重・奈良・和歌山・大阪の各地に伝わる伝説を、三輪山・安珍清姫・弘法清水・油掛け地蔵など百余りの話型ごとに集める。各話型は例話を冒頭に据えて『日本伝説名彙』などとの対応を示し、〔類話〕に伝承地と出典つきの梗概を並べ、〔文献〕に近世以前の史料の原文を添えて補う構成をとる。