節祭の夜に宿を乞うた来訪神
どんな伝承か
昔、仲間村の時代、村は節祭の日で賑わっていた。夕刻、川平の北の海で難船した旅人がみすぼらしい姿で訪れ、一夜の宿を乞うて各戸をまわったが誰も相手にしなかった。村の南端の南風野屋だけが招じ入れ、主人は、貧しくても火と水さえあれば満足であると答えた。夜中、主人が目を覚ますと旅人は庭に立って神詞を朗々と唱えており、自分は人に非ず、天の神より人の心を定めて諸物作りを授けるよう命を受けた者であると告げて姿を消した。以来この家は豊作となり、翌年と三年目の戊の戌の日にも神は来訪した。三度目に村人も信仰を望んだので、神は、戌年生まれを元にして人組をし、毎年各戸を訪ねて神詞を唱えよと定め、以後は来訪しないと言って去ったという。
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
日本伝説大系 第15巻(山下欣一・遠藤庄治・福田晃(編集執筆)・日本伝説大系(みずうみ書房))
『日本伝説大系 第15巻』は、山下欣一・遠藤庄治・福田晃が奄美・沖縄本島・沖縄先島の編集執筆を分担し、福田晃が全体をまとめた伝説集である。島々の口承伝説を、市町村の民話集や大学の口承文芸研究会の採集稿、近世の文献から集め、天地や人類の始まり、島建ての神、キジムナー、蛇婿、津波、御嶽や墓の由来などを収める。第一部「文化叙事伝説」と第二部「自然説明伝説」に分け、各話を例話・類話・文献・参考の順に並べ、類話は地域別に配列する。