歌で船頭を誘う木曽川の乙女岩
どんな伝承か
木曽川が犬山市を流れるあたり、急流の中に乙女岩というものがある。日本ライン下りの遊覧船の船頭が、竿をあやつりながら面白おかしく話してくれる伝説である。昔、この岩に一人の美しい乙女が立ち、きれいな声で歌を唄っていた。そのあたりを通りかかった船頭たちはこの歌声に心を引かれ、うっかり岩へ近づくと、たちまち急流に呑まれて川へ落ち込む。するとその乙女は川へ飛び込んで、その血を吸ったという恐ろしい話である。
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
愛知県伝説集(福田祥男・1961年(昭和36年))
『愛知県伝説集』は、福田祥男が昭和三十六年に著した愛知県の伝説集である。尾張・三河の山や海、淵や池、地蔵と観音、石や塚、城跡、地名、動物と変化、植物、祟りと怨霊などにまつわる言い伝えを、原型に忠実に再現することをめざして平易な文で語り直し、話の末に郡市名を添える。山の伝説から其の他の伝説まで十五の部に分け、あとがきでは前年に出した『愛知県伝説集・虹と黒潮』を全面的に改稿し増補したと記す。