イモが煮えない石イモ井戸
どんな伝承か
葉山町の秩父宮別邸跡には「石イモ井戸」と呼ばれる井戸がある。昔、土地の百姓女がこの井戸でイモを洗っていると、みすぼらしい身なりの乞食坊主がやって来て、腹が減っているのでイモを一つ恵んでほしいと頼んだ。女は坊主のむさ苦しい姿に閉口し、お前などにやる分はないと突き放して、さっさと家へ帰ってしまった。ところが家でそのイモを煮ようと火にかけると、何時間たってもいっこうに柔らかくならず、とうとう食べられなかったという。この坊主は弘法大師だったと伝えられるが、日蓮上人だとする説もある。
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
神奈川の伝説(谷川平夫(文)/読売新聞社横浜支局 編・1967年(昭和42年))
『神奈川の伝説』は、読売新聞社横浜支局が一九六七年に編んだ神奈川県内の伝説集である。読売新聞神奈川県民版に昭和四十年九月から四十二年八月まで八十回連載された「神奈川の伝説」のうち六十五回分を収め、文は谷川平夫記者が書き、伝説の地を訪ねて住職や古老に聞いた話と現在の様子を添える。樹木・石・塚・水・坂や島・屋敷址・社寺・禁忌・地名の部に話を分け、大藤時彦の序文と巻末の解説・索引を付ける。