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風呂桶ごと流されて助かった母と子

所在地宮城県気仙沼市唐桑浜の宿
年代明治二十九年
登場母親、二階に寝ていた子供
出典定本柳田国男集 第2巻

どんな伝承か

海嘯の時刻はちょうど旧五月五日の月が入ったばかりで、恐ろしい大雨であった。それでも節句の晩なので人の家へ行って飲む者が多く、酔い倒れて還れなかったために助かった者もあれば、そのために助からなかった者もあった。何を不幸の原因とも決めてしまうことができない。山の麓に押し潰されていた家で馬まで無事だった例もある。二階に子供を寝させて湯に入っていた母親が、風呂桶のまま海に流されて裸で命を全うし、三日目に屋根を破って入ってみると、その子が疵もなく生きていたという珍しい話もあるという。

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※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません

出典の文献について

定本柳田国男集 第2巻(柳田国男・定本柳田国男集)

『定本柳田国男集 第2巻』は、柳田国男の紀行と旅の随筆を収めた著作集の一巻である。昭和三年一月の自序に続く「雪国の春」や菅江真澄の日記を読み解く文をはじめ、東北の村々の正月、火と炭、浜の暮らしの見聞、「秋風帖」「東国古道記」、昭和十五年十一月の自序を持つ「豆の葉と太陽」などの紀行を並べる。峠や古道、佐渡・五箇山・熊野などの土地を、住む人の暮らしと信仰から見ようとする文が多い。

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