風呂桶ごと流されて助かった母と子
どんな伝承か
海嘯の時刻はちょうど旧五月五日の月が入ったばかりで、恐ろしい大雨であった。それでも節句の晩なので人の家へ行って飲む者が多く、酔い倒れて還れなかったために助かった者もあれば、そのために助からなかった者もあった。何を不幸の原因とも決めてしまうことができない。山の麓に押し潰されていた家で馬まで無事だった例もある。二階に子供を寝させて湯に入っていた母親が、風呂桶のまま海に流されて裸で命を全うし、三日目に屋根を破って入ってみると、その子が疵もなく生きていたという珍しい話もあるという。
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
定本柳田国男集 第2巻(柳田国男・定本柳田国男集)
柳田国男編『定本柳田国男集 第2巻』を全331話・伝説(1見出し=1話)単位で収録(緒言・序・名義・解説・和歌・注は除外/内包)。所在地(郡村区・社寺)を付して集成。