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乳を含ませて子を守った母

所在地宮城県気仙沼市唐桑浜の宿
年代明治二十九年
登場母親と乳呑児
出典定本柳田国男集 第2巻

どんな伝承か

唐桑浜の宿の海嘯の夜、母親は中の間で乳呑児と一緒にいた。どんなことがあってもこの子は放すまいと思い、左の手で精一杯に抱えていたという。乳房を含ませていたために、赤子は潮水を少しも飲まなかった。山に上がって夜通し焚火の傍にじっとしていたので、翌朝見ると赤子の顔から頭にかけて、煤の埃で胡麻あえのようになっていたそうである。その赤子が長じて歩兵に出て、その年にはもう還って来ていた。よほど孝行をしてもらわなければと、老母はよく言うという。

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※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません

出典の文献について

定本柳田国男集 第2巻(柳田国男・定本柳田国男集)

『定本柳田国男集 第2巻』は、柳田国男の紀行と旅の随筆を収めた著作集の一巻である。昭和三年一月の自序に続く「雪国の春」や菅江真澄の日記を読み解く文をはじめ、東北の村々の正月、火と炭、浜の暮らしの見聞、「秋風帖」「東国古道記」、昭和十五年十一月の自序を持つ「豆の葉と太陽」などの紀行を並べる。峠や古道、佐渡・五箇山・熊野などの土地を、住む人の暮らしと信仰から見ようとする文が多い。

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