二代続けて川童の子を孕む家
どんな伝承か
川には川童が多く住み、猿ヶ石川はことに多い。松崎村の川端の家では、二代続けて川童の子を孕んだ者があった。ある日一同が畑から夕方に帰ろうとすると、女が川の汀で躍ってにこりと笑っている。やがてその女のもとへ村の何某という者が夜々通うという噂が立ち、川童であろうという評判が次第に高くなった。一族が集まって守り、婿の母が娘の側に寝ても、深夜に娘の笑う声を聞くばかりで身動きもできなかった。産は極めて難産で、馬槽に水を湛えその中で産むと安く生まれた。その子の手には水掻きがあり、斬り刻んで一升樽に入れ土中に埋めたという。
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
定本柳田国男集 第4巻(柳田国男・定本柳田国男集)
『定本柳田国男集 第4巻』は、柳田国男の著作を集めた定本の一巻である。岩手県遠野の伝承を佐々木鏡石から聞いて書いた「遠野物語」、山に入った人や神隠しを論じた「山の人生」、河童・ひだる神・一つ目小僧・天狗などを扱い妖怪名彙を付す「妖怪談義」を収める。ほかに「山人考」「史料としての傳説」「比丘尼石の話」「山人外傳資料」「『イタカ』及び『サンカ』」「山民の生活」など、山人・漂泊民・妖怪をめぐる論考を併せる。