大皇明神を祀る漆器原料の部落
どんな伝承か
南会津の保城という部落は、十八戸の住民が大抵は土蔵を有し、家屋も普通の農家より立派であって、やはり漆器原料の生産を以て活計を立てていた。蒲生氏に招致された佐藤の一類とは全く別流で、保科正之公の保護を受けたと伝えているが、実はそれよりも遥かに後、寛政九年に他国から入った者である。村内に大皇明神を勧請して氏神を独立させている。木地屋の本国である近江の君ヶ畑との交通が今一段と困難であった時代に、流れ流れてこの類の土着があったとすれば、いわゆる高倉宮の異伝ぐらいは、至って容易に発生し得たのである。
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
定本柳田国男集 第4巻(柳田国男・定本柳田国男集)
『定本柳田国男集 第4巻』は、柳田国男の著作を集めた定本の一巻である。岩手県遠野の伝承を佐々木鏡石から聞いて書いた「遠野物語」、山に入った人や神隠しを論じた「山の人生」、河童・ひだる神・一つ目小僧・天狗などを扱い妖怪名彙を付す「妖怪談義」を収める。ほかに「山人考」「史料としての傳説」「比丘尼石の話」「山人外傳資料」「『イタカ』及び『サンカ』」「山民の生活」など、山人・漂泊民・妖怪をめぐる論考を併せる。