鮫島某の漂着と琉球の引物工
どんな伝承か
琉球塗と称する赤い漆器の木地はどのように製し、いつ頃この島に轆轤の使用法が入ったのか。「琉球国旧記」には木地引勢頭一員が王家に置かれたことが相当古いように書かれ、近世には別に引物奉行を建てて分管したとある。「遺老説伝附録」には、大隅国分の人・鮫島某が海上で逆風に遭って漂流し沖縄に至り、数年留まった後に宮古島の女を娶って子まで生まれたので、ついに帰化して安里掟と称し、久茂地から後に若狭町に住んで引物を産業とし、後にまたその業を国中に伝えたとある。俗にこれを引物工、または轆轤工という。本国の轆轤はこれより始まると記すが、柳田は話が少し新しすぎるようだと述べている。
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
定本柳田国男集 第4巻(柳田国男・定本柳田国男集)
『定本柳田国男集 第4巻』は、柳田国男の著作を集めた定本の一巻である。岩手県遠野の伝承を佐々木鏡石から聞いて書いた「遠野物語」、山に入った人や神隠しを論じた「山の人生」、河童・ひだる神・一つ目小僧・天狗などを扱い妖怪名彙を付す「妖怪談義」を収める。ほかに「山人考」「史料としての傳説」「比丘尼石の話」「山人外傳資料」「『イタカ』及び『サンカ』」「山民の生活」など、山人・漂泊民・妖怪をめぐる論考を併せる。