炉の鍵に括る眼病除けの杓子
どんな伝承か
杓子を病神対抗の呪いに用いる例は各地にある。佐賀県では百日咳をチゴツキと呼び、これを治するには厭勝として、杓子に人の顔を描いて路傍に立てておき、千人の人に見られると直るという俗信がある。常陸の土浦付近では、百日咳堅く無用云々と書いて門口に貼り、また天井に打ち付けておくこともあるという。高木誠一君が報ぜられた石城平辺の流行眼病除けの厭勝は、単に杓子を炉の鍵に括り付けておくとあるから、恐らくは何も書いてなかったのであろう。これに書く文字が仏教・道教のようでなくてもよかったのは面白い。
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
定本柳田国男集 第4巻(柳田国男・定本柳田国男集)
柳田国男編『定本柳田国男集 第4巻』を全822話・伝説(1見出し=1話)単位で収録(緒言・序・名義・解説・和歌・注は除外/内包)。所在地(郡村区・社寺)を付して集成。