高野山の捻石(空海の母)
どんな伝承か
高野山の登山路では、五十四番の町石の傍らに捻石と呼ばれる、ねじったような形の石が立っている。八十歳の老母がわが子の住む山を見たくてここまで来たが、山の掟で許されなかった。悲嘆の涙は長く涙川となって流れ、後の世の母たちに今の恨みの跡を見せたいと、自らの手でこの石をねじったと伝える。ただし空海も越の泰澄と同じように、この地へやって来て母に対面はしたのだという。柳田は、高野山でも白山の泰澄と同様に、弘法大師と母夫人の関係を石の話に語っている点に注目している。
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
定本柳田国男集 第4巻(柳田国男・定本柳田国男集)
『定本柳田国男集 第4巻』は、柳田国男の著作を集めた定本の一巻である。岩手県遠野の伝承を佐々木鏡石から聞いて書いた「遠野物語」、山に入った人や神隠しを論じた「山の人生」、河童・ひだる神・一つ目小僧・天狗などを扱い妖怪名彙を付す「妖怪談義」を収める。ほかに「山人考」「史料としての傳説」「比丘尼石の話」「山人外傳資料」「『イタカ』及び『サンカ』」「山民の生活」など、山人・漂泊民・妖怪をめぐる論考を併せる。