京都御大典 若王子の白煙
どんな伝承か
大正四年の御大典で京都は各地から来た拝観の人で街道も宿も一杯になった。十一月七日、車駕が着いた日は雲一つない晴天で、御苑も大通りも朝早くから人で埋まった。そのとき遠く若王子の山を望むと、松林の中腹から白い煙が一筋二筋、細く立ちのぼっていた。著者は、ああサンカが飯を炊いているのだなと思ったという。世間とわずかな妥協すらしない人々がまだ残っている例として挙げ、彼らがわざとそうしたわけではないと付け加えている。
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
定本柳田国男集 第4巻(柳田国男・定本柳田国男集)
『定本柳田国男集 第4巻』は、柳田国男の著作を集めた定本の一巻である。岩手県遠野の伝承を佐々木鏡石から聞いて書いた「遠野物語」、山に入った人や神隠しを論じた「山の人生」、河童・ひだる神・一つ目小僧・天狗などを扱い妖怪名彙を付す「妖怪談義」を収める。ほかに「山人考」「史料としての傳説」「比丘尼石の話」「山人外傳資料」「『イタカ』及び『サンカ』」「山民の生活」など、山人・漂泊民・妖怪をめぐる論考を併せる。