四九の日に立つ松戸の市と小切売り
どんな伝承か
昔は松戸などに商店はあっても、この在には商人がいないので、少し多めに買う時は皆松戸へ出かけた。松戸には四と九の日に市が立ち、商店の軒下を借りて商人が店を出せるよう、世話役が筵一枚いくらで場代を割り振った。年中出るので、どこの店の前は誰が出ると常連で決まっていた。語り手の親戚の婆さんは小切を売っていた。呉服屋では反物を切ってくれないが、市なら一反を三つに切った物も売っており、帯や胴締めにするのに便利だった。普段の暇なときに縫っておいた襷などを市へ持って行くと、これがまたよく売れたという。
原典より
昔はねえ、松戸やなんかに商店もあるけど、この在の人には商人がないから、ここらの人皆松戸に買いに行ったもんだ。—— 市川の伝承民話 第1集(市川民話の会・市川の伝承民話・1980年(昭和55年)) より引用地図で位置を見る
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
市川の伝承民話 第1集(市川民話の会・市川の伝承民話・1980年(昭和55年))
『市川の伝承民話 第1集』は、市川民話の会が昭和五十五年に編んだ民話の資料集である。市川市教育委員会の事業として昭和五十四年度に千葉県市川市の国分・北国分・行徳・南行徳で行った採訪調査のうち、テープ起こしを終えた語りを、方言も残して話者の息継ぎのままに記録している。世間話・伝説・昔話・唄・生活譚の五部に分けて地区別に並べ、話末に話者・地区・記録者の名を添える。