洞穴から出て石になった山伏の犬
どんな伝承か
館山市犬石にある犬石神社の境内には海食洞穴が口を開けている。むかし、一人の山伏が一匹の犬を連れて、十二キロほど離れた館山市浜田の鉈切神社本殿の洞穴から入ったまま、幾日たっても姿を見せず行方不明になった。ところが数十日後、犬だけが血まみれになって犬石の洞穴から這い出し、外気に触れてそのまま石になったという。この犬の霊を慰めるため神社が建てられ、地名も犬石に改められたと伝え、今も一匹の犬の像が立っている。
原典より
犬石神社という小社が、館山市犬石にあって、境内の一隅に海食洞穴が口をあけている。—— 房総の年輪 より引用地図で位置を見る
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
房総の年輪
『房総の年輪』は、房総各地の伝説・昔話・信仰の伝承地を一項ずつ取り上げた短い文章を集めたもので、著者と刊行の事情は原典に記されていない。香取の要石や真間の手古奈堂、松虫姫、源頼朝や義経の伝説地、沈鐘伝説、椀貸伝説、河童や天狗、海の怪異「もうれん」などを、『譚海』『上総国誌稿』や市町村の民話集を引きながら所在地とともに記す。各項は読み切りの小文で、昭和四十五年と四十七年の年頭に書かれた項を含む。