紅い光とともに現れた布施弁天の像
どんな伝承か
富勢村布施の利根川岸にある紅竜山、すなわち布施弁天は、もとは湖の中の孤島だったという。大同二年七月七日の夜、海中に紅い光が現れて一つの霊像を投げ上げ、その夜から地が揺れ、不思議な光明があった。夜が明けて見ると三寸あまりの弁財天の像で、里人は社を建てて安置した。ちょうど行脚の途中でここを通った弘法大師がこれを聞き、自ら弁財天の像を刻んで納めたと伝える。天正のころ兵火で一度衰えたが、のちに再建され、徳川家も寺領を寄附した。
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
日本伝説叢書 下総の巻(藤澤衛彦・日本伝説叢書・1919年(大正8年))
『日本伝説叢書 下総の巻』は、藤澤衛彦が編著し、大正七年の緒言と大正八年の序を添えた下総国の伝説集である。平将門・佐倉宗吾・真間の手児奈・累などを中心に、千葉県と茨城県西部にまたがる旧下総の城跡・寺社・墓・橋・井戸などにまつわる伝説を、地誌や古記録の引用を交えて収める。緒言で百七十九編を収めると述べ、国名の由来から始めて、話ごとに所在の町村名を付した見出しを立てて並べる。