万葉の戯れ歌に詠まれた勝間田の池
どんな伝承か
「万葉集」巻三の新田部親王の歌に「勝間田の池は我知る蓮なししか言ふ君が髭なきが如」とある。左注によれば、親王が出遊して勝間田の池を見、帰っても憐愛に堪えず、婦人に、水影は濤々、蓮花は灼々として憐れむべく断腸、言い尽くせぬと語ったので、婦人がこの戯歌を作ったのだという。この池を美作国の勝間田、越前国坂井郡の勝間、大和国の勝間、下総国葛飾郡の勝間(今の松戸町)とする諸説があるが、印旛郡にも勝間田の池(今の大字勝田)があるので、この地ではないかとも言われている。印旛郡勝田村は太古の湖辺で勝間田の地名があり、古記が勝間田を勝田と書いたことから地名となり、その池をかつまたの池と呼んだのであろうという。
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
日本伝説叢書 下総の巻(藤澤衛彦・日本伝説叢書・1919年(大正8年))
『日本伝説叢書 下総の巻』は、藤澤衛彦が編著し、大正七年の緒言と大正八年の序を添えた下総国の伝説集である。平将門・佐倉宗吾・真間の手児奈・累などを中心に、千葉県と茨城県西部にまたがる旧下総の城跡・寺社・墓・橋・井戸などにまつわる伝説を、地誌や古記録の引用を交えて収める。緒言で百七十九編を収めると述べ、国名の由来から始めて、話ごとに所在の町村名を付した見出しを立てて並べる。