悪戯を咎めない廻り廻りの地蔵様
どんな伝承か
豊房村をはじめ房州の各地には、子供の遊戯に地蔵あそびというものがあり、その時には、廻り廻りの地蔵様、一日に三度飯食って、まだほっぺたがちいちゃっけ、という童謡が歌われる。地蔵様はどんなに悪戯されても決して咎めず、悪戯な子供も同じように可愛がって守ってくださるという。一方で、地蔵に悪戯した子供が神罰で病んで大いに祟られたという話も房州の各地に少なくない。著者は、地蔵が子供にだけ特に霊験があるとされるのは、中世以降に道端の道祖神信仰と混同され、道路の守護神や子安の信仰と結びついて、路傍の群童と友達のような関係になったためだろうと考察している。
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
日本伝説叢書 安房の巻(藤沢衛彦・日本伝説叢書・1919年(大正8年))
『日本伝説叢書 安房の巻』は、藤沢衛彦が大正八年に編んだ安房国(千葉県)の伝説集である。天富命の渡来や源頼朝・里見氏・日蓮にまつわる英雄伝説を中心に、社寺の縁起、風俗・信仰、船幽霊や一本足の蛸などの特異な伝承を、『安房志』『房総志料』などの地誌や寺伝・口碑から引いて収める。緒言と「安房国と牛」と題する序を巻頭に置き、鋸山から小湊まで各話に所在の郡村大字を添えて土地ごとに並べ、緒言では百八十六種を蒐集したと記す。