月夜の杉木立に響いた天狗ばやし
どんな伝承か
羽黒山での話。道者の先達をつとめた帰り道、大満の小屋まで来て日が暮れ、前日の荒れ模様で疲れていたので泊まることにした。小屋の主人が出した濁り酒に酔って眠り、夜中に目を覚ますと月光が枕元まで差していた。水を飲みに勝手をのぞいたついでに下駄を突っかけて外へ出ると、杉木立の中からどこからともなく笛の音が聞こえ、囃子太鼓の響きも混じっていた。神子石の小屋の道者にしては遠すぎると音を頼りに歩くと、楽の音はぴたりとやんで二度と聞こえなかった。天狗ばやしだろうと語られたという。
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
現代民話考 1 河童・天狗・神かくし(松谷みよ子・現代民話考・1970年代)
松谷みよ子『現代民話考 1 河童・天狗・神かくし』を小話単位で全532話収録。河童・天狗・神かくしにまつわる現代の民話・怪異譚を全国から採集し、地域・話者つきで収録する。各話に採集地(都道府県・市区町村)と話者・回答者を可能な範囲で付す(県判明530話・市区町村判明477話、戦地や場所不明の話を含む)。原典は読者からの投稿・採訪に基づく現代民話の集成。