足毛岩の下に住むお天狗様の音
どんな伝承か
奥多摩町の川野には、仕事場のすぐ奥に小さな祠があり、その脇に足毛岩と呼ばれる名の知れた岩が立っている。その岩の下にはお天狗様がいるのだと言い伝えられてきた。岩の下手ではこの辺りの者が炭を焼いた。炭は夜が本番で、煙と火にまかせて放っておくのだが、風向き次第で予定より早く焼き上がり、夜のうちに窯から出す羽目になることがある。そうして夜更けに上っていくと、川の上で大木を倒す音、小屋の屋根を揺すぶる音、木を殴る音、石を転がす音がした。草履で走るような足音が右へ左へ飛び、ひどいものだと思って翌朝見に行っても何の跡もない。家の者が産をした後などに、こうしたことが起こりやすいのだという。
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
現代民話考 1 河童・天狗・神かくし(松谷みよ子・現代民話考・1970年代)
松谷みよ子『現代民話考 1 河童・天狗・神かくし』を小話単位で全532話収録。河童・天狗・神かくしにまつわる現代の民話・怪異譚を全国から採集し、地域・話者つきで収録する。各話に採集地(都道府県・市区町村)と話者・回答者を可能な範囲で付す(県判明530話・市区町村判明477話、戦地や場所不明の話を含む)。原典は読者からの投稿・採訪に基づく現代民話の集成。