一度も使わなかったビデオの機能
どんな伝承か
昭和五〇年頃、学生時代にビデオデッキを購入した。誰も彼もテレビとビデオをセットで揃えるようになった頃で、自分にはとても大きな買い物だったから、大枚をはたくなら損はすまいと思った。とはいえ機械には疎く、自分がどういうものを欲しいのかも分からない。いろんな機能がついたものがよかろう、ボタンが一つでも多い方が得だと思い込んで、多機能が売り物の商品を選んだ。けれども説明書を読むのもわずらわしく、結局使ったのはわずかなボタンの単純な操作だけで、機械の寿命が尽きるまで一度も使わなかった機能がどれほどあったことかという。
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
現代民話考 12 写真の怪・文明開化(松谷みよ子・現代民話考(立風書房)第十二巻・1996年(平成8年))
『現代民話考 12 写真の怪・文明開化』は、松谷みよ子が一九九六年にまとめた現代民話の資料集で、同シリーズの第十二巻にあたる。雑誌での呼びかけやアンケート、聞き書きで寄せられた話と新聞・雑誌の記事を、心霊写真をめぐる怪異と、明治以降の電信・汽車・電気燈などの新しい文物や流行病に戸惑う人々の話に分けて収める。話例ごとに本文を掲げて各地の類話を分布として並べ、話者や回答者の名と出典を添える。