仏にされず夢枕に立った道楽者
どんな伝承か
祖父の兄に滝トンジという人があった。長男で財産を譲り受け、他人の土地を踏まずに向かいの山の神社まで参れるほどの土地持ちであったが、女と遊び、芸者と逃げて能代で暮らした。金の切れ目が縁の切れ目で、財産を失うと女に逃げられて帰ってきたが、途中の十二所で行き倒れ、兄が背負って帰ったものの死んだ。財産を失くした道楽者だと憎まれ、拝むまいと仏にされなかった。戦後、嫁に来たばかりの母の夢枕に色白のいい男が立ち、この家の者だが仏にされていないから浮かばれない、何とかしてくれと言った。朝それを話すと皆が驚き、死んだトンジに違いないというので、そこで初めて戒名をつけて祀ったという。
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
現代民話考 4 夢の知らせ・火の玉・ぬけ出した魂(松谷みよ子・現代民話考)
『現代民話考 4 夢の知らせ・火の玉・ぬけ出した魂』は、松谷みよ子が編んだ「現代民話考」の一冊である。日本民話の会の雑誌『民話の手帖』のアンケートへの回答や聞き書き、新聞・雑誌の記事から集めた、予知夢や死の知らせの夢、死者や神仏の夢告げ、死の前後に出る火の玉、生きている人から抜け出す魂の話を各地から収める。三章それぞれの冒頭に編者の論考「考」を置き、項目ごとに代表的な語りと、県別に並べた短い報告を話者・回答者・出典を添えて載せる。