断食の満願に現れた白竜
どんな伝承か
柳玄寺の話である。先代の第十九世阿部太山和尚は若くして同寺の住職となったが、心中深く期するところがあって、二十一日間にわたる断食を行なった。満願の日、白竜が夢に現れ、以後通力を与えることを約し、共に与える角が折れる時は命脈の尽きる時であると告げた。以来、和尚はその通力によって人々の難苦を救い尊崇を集めたが、六十余年後、白竜から与えられた角の折れる日が来た。自らの命脈の尽きたことを悟った和尚は、三ヵ月を経た七月のある朝、膳に向かい合掌したまま静かに昇天したという。
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
現代民話考 4 夢の知らせ・火の玉・ぬけ出した魂(松谷みよ子・現代民話考)
『現代民話考 4 夢の知らせ・火の玉・ぬけ出した魂』は、松谷みよ子が編んだ「現代民話考」の一冊である。日本民話の会の雑誌『民話の手帖』のアンケートへの回答や聞き書き、新聞・雑誌の記事から集めた、予知夢や死の知らせの夢、死者や神仏の夢告げ、死の前後に出る火の玉、生きている人から抜け出す魂の話を各地から収める。三章それぞれの冒頭に編者の論考「考」を置き、項目ごとに代表的な語りと、県別に並べた短い報告を話者・回答者・出典を添えて載せる。