村の栗の神木を買った材木商の失明
どんな伝承か
秋山郷は平家の落人の里で、山は共有であった。いつも同じ山の状態を保つため、一年の燃料は四本と決め、それも抽選で決めて、絶対にそれ以上の木を切る人はいなかった。そんな中で戦後にダムが開発され、東京の人々が入ってきた。その中の材木商の一人が、村で神木ぐらいに大事にしていた立派な栗の木に目をつけ、買付けを迫った。村人達は何年か反対したが、ついに負けて売ってしまった。その後、その木を東京に運んでから本人が急に失明寸前になり、名医にかかっても治らない。占ってもらうと栗の木のたたりだといわれ、細枝で地蔵様を彫って木のあった所に祀ったところ、すっかりよくなったという。
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
現代民話考 9 (木霊・蛇)(松谷みよ子・現代民話考)
『現代民話考 9 (木霊・蛇)』は、松谷みよ子が全国の回答者から寄せられた報告と各地の民話集をもとに編んだ『現代民話考』の一巻である。明治から平成にかけて語られた、伐ろうとすると祟る木・泣く木・血を流す木などの木霊の話と、大蛇やつちのこ、蛇婿・蛇女房、主や守り神としての蛇、蛇と福運などの話を、話者や回答者の名とともに収める。第一章「木霊」と第二章「蛇」を主題ごとの節に分け、各話例の後に「分布」として類話の地名と出典を並べる。