突然倒れたウルシと戦死の報せ
どんな伝承か
私の生家の隣の兄んちゃんが出征した。昭和一四、五年頃、太平洋戦争に突入する前の頃であったろうか。隣家所有の土地にウルシの大木があり、冬になるとその実をヤマガラ、シジュウカラ、エナガなどの小鳥が食べに来た。私は雪掘りをしながら飽きずに眺めて楽しんでいた。小鳥好きになったのはそのせいかもしれない。するとある日、大雪が降ったのでも大風が吹いたのでもないのに、突然ウルシの大木が倒れてしまった。数日後、兄んちゃんが戦死したという報せが入った。これも兄んちゃんの仕業ではなかろうかと噂しあっているのを、少年の私が聞いていた。
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
現代民話考 9 (木霊・蛇)(松谷みよ子・現代民話考・昭和〜平成)