「成らぬとぶったぎる」と迫る成木責め
どんな伝承か
昭和一〇年代まで行われていた行事である。旧暦正月一六日の朝、弟と三人で栗・梨・ぐみ・柿などの果樹を一本ずつ回り、刃物、主に鉈を手にした者が「成るか、成らぬか、成らぬとぶったぎる」と怒鳴る。すると木の裏側にいる者が「実をつけます。いっぱい実がなります」と答え、次の木へ移っていく。東北の貧しい暮らしでは果樹の実は大切な食糧だったから、豊年と多収穫を祈る行事だったと語り手は考えている。斧の峰で打ちながら行う人たちもいた。遠くへは行かず、家のまわりの木で営むことが多かったが、戦時中になって消えた。
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
現代民話考 9 (木霊・蛇)(松谷みよ子・現代民話考・昭和〜平成)