霧のような毒を吹くつちのこ
どんな伝承か
つちのこを見たという人は三、四人いる。五、六年前になるか、おもやの嫁さんも見たといい、切畑さんも見たということである。丈の短い、丸太ん棒のようなもので、腹が真黄色であったそうだ。こんこんこんこんと、杖でも突いているような音がするので行ってみたら、あいつが跳ねてきたそうで、ぞうっとしたという。それからテレビで評判になり、大騒ぎになった。切畑さんは、霧のような毒を吹くのを実際に見たといい、毒を吹かれた人は最初は何ともなかったが、家へ帰った頃に急に気分が悪くなり、一週間ほど寝込んでしまったという。ただ、ここ最近つちのこを見たという人はいない。
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
現代民話考 9 (木霊・蛇)(松谷みよ子・現代民話考)
『現代民話考 9 (木霊・蛇)』は、松谷みよ子が全国の回答者から寄せられた報告と各地の民話集をもとに編んだ『現代民話考』の一巻である。明治から平成にかけて語られた、伐ろうとすると祟る木・泣く木・血を流す木などの木霊の話と、大蛇やつちのこ、蛇婿・蛇女房、主や守り神としての蛇、蛇と福運などの話を、話者や回答者の名とともに収める。第一章「木霊」と第二章「蛇」を主題ごとの節に分け、各話例の後に「分布」として類話の地名と出典を並べる。