ヨボシ岩の陰で放ったくろがね弾
どんな伝承か
明治の初め頃の話として聞いたという。この上の山にヨボシ岩という三十メートルほどの岩がある。ある日、佃の猟師が猟に出たが獲物がなく、雨も降り出したのでその岩の陰で雨宿りをしていた。日が暮れかかったので帰ろうと岩から出たところ、箕を広げたほどもある蛇がいて、猟師は震え上がった。昔の猟師は宮で祈禱して作ったくろがね弾を持っており、身を守るときのほかは撃てず、撃ったら殺生をやめる掟だった。猟師はその弾に込め替えて撃ち、見事に命中させた。のたうつのを見届けたが恐ろしくてそのまま逃げ帰った。見に行った者によれば、おひつの周りほど、直径三十センチはあったという。その骨は話者が小学二、三年の頃まで残っていた。
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
現代民話考 9 (木霊・蛇)(松谷みよ子・現代民話考・昭和〜平成)