仏前に現れた十歳の亡息の霊
どんな伝承か
霊媒として知られた小林寿子は、盛岡に住むごく平凡な主婦だった。夫は東京獣医学校を出てその方面の仕事に就き、寿子自身は読書もあまり好まず、子育てに専心する内気で優しい人だったという。霊媒の現象が初めて現れたのは、三人姉弟のうちただ一人の男の子であった和彦を十歳で亡くしたときからである。わが子の仏前に端座し、親としての不注意を涙ながらに詫びて冥福を祈っていると、突如として愛児の霊が現れ、周囲の人々を驚かせた。以後、和彦の霊は寿子に死後の世界を教え、亡くなった人々との橋渡しをするようになったという。
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
あの世はあった―文豪たちは見た、ふるえた(三浦正雄・矢原秀人・2006年(平成18年))
『あの世はあった――文豪たちは見た!ふるえた!』は、三浦正雄と矢原秀人が二〇〇六年に著した、近代日本の作家や知識人の霊体験を紹介する読み物である。熱海の旅館で遠藤周作と三浦朱門が同時に遭った幽霊、佐藤愛子の心霊現象、菊池寛・宮沢賢治・小泉八雲・土井晩翠・新渡戸稲造・南方熊楠らの体験、夏目漱石の臨死体験を、本人や周囲の文章を引いて語る。一人一章の全十二章にまえがき・あとがきを添え、巻末に霊媒クランドン夫人の実験記録を付録として収める。