夜通し続いた狐の大名行列
どんな伝承か
藩政のころ、芭蕉ノ辻は仙台城下の中心といってよい場所だったが、一筋裏へ入れば夕方から人通りの絶える寂しさだったという。ある日の暮れ方、按摩がその辺りを通ると、下におれ下におれという先払いの声と蹄の音が近づいてきた。あわてて土下座して待つうち行列は過ぎ、ほっとして歩き出すと、また先触れの声がかかる。そのたびに道端へ平伏することが幾度も繰り返され、やがて東の空が白んで鶏が鳴くと、行列はふつりと絶えた。その辺りで名の知られた古狐に化かされたのだと語られている。
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
宮城県史 民俗編(茂木徳郎(「妖怪 幽霊」の章)・宮城県史シリーズ)
『宮城県史 民俗編』は宮城県の県史の民俗編で、ここに収めるのは茂木徳郎が執筆した章「妖怪 幽霊」である。山・道・木・水・海・雪・家など出現の場所による分類に沿って妖怪変化を論じ、幽霊とヒトダマ・死霊・生霊の観念を考えたうえで、県内の妖怪・幽霊・動物変化の伝承を郡・町村名を添えて集める。序説・本論・事例篇・参考の順に並び、序説では昭和二十四年の迷信調査と昭和三十年のNHK仙台中央放送局の調査にも触れる。