男と判明した花嫁の届書
どんな伝承か
明治十三年十二月、山形病院に一件の願い出があった。迎えた花嫁が鎖腔で性器不能だから治療してほしい、というのである。ところが院長の長谷川元良が詳しく検査したところ、その花嫁はまったく男性であり、泌尿器と生殖器がともに先天的な不具であることが判明した。届書には、山形県下第一大区四小区新山村の農家の子、十九歳とあり、父母をはじめ本人までが長年女性と思い込んで育ててきたと記されている。医師は欧州にもはなはだ稀な例だと述べ、診断書と雛形図解を添えて山形県令へ届け出た。新聞はこれを稀有の珍事として報じた。
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
日本怪奇集成-明治大正昭和篇(富岡直方編著・日本怪奇集成・昭和初期(推定昭和2-3年))
明治・大正・昭和の怪奇譚(日本怪奇集成)/生首と幽霊の怪/狐狸のいたずら/怪盗と世相の怪異/各時代の不思議な事件