夜光る双頭の怪魚を引きあげた漁師
どんな伝承か
秋田県能代町の能登某という漁師が、下能代潟で引網をしている際、奇怪な魚を引きあげた。頭が二つあって胴は蛇に似て鱗があり、尾は鰻のようにぬるぬるとしていた。長さは四尺、胴廻りは七寸で、夜になると光を放つという不気味なものであった。かつぎ屋の漁師たちは、これは竜神様のお使いだといって酒などを飲ませ、大いに歓待していたが、県当局では、あまりに奇怪な動物なので研究材料にすることになったそうである。
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
日本怪奇集成-明治大正昭和篇(富岡直方 編著)
『日本怪奇集成-明治大正昭和篇』は、富岡直方が編んだ怪奇実話集である。明治元年から昭和七年までに各地で起きた幽霊や狐狸の怪、畸形や奇病、天変や奇瑞、世相の珍事を、当時の新聞・雑誌の記事と筆者自身の聞き書きから集めている。明治・大正・昭和の三篇に分け、話ごとに年月を掲げて通し番号を振り、新聞記事を引いたうえで紙名を末尾に添える形を基本とする。