後ろ姿は美女、顔は爺の妖怪
どんな伝承か
仙台城下九番町の傘屋の小僧が、ザルを持って米屋へ一升買いに行かされた。銭が入るのを待っていたので、日が落ちてからの使いだった。米を入れてもらって町なかを帰ると人通りは絶えている。前を若い女がカランコロンと歩いていた。小僧はしばらく会わない姉の姿に似ていると思い、姉さと声をかけた。女が振り返ると顔はしわくちゃの爺であった。小僧は驚いてザルを落とし、米を土にこぼして泣き出した。化け物は驚かせて悪かったと銭をくれ、小僧は買い直しても銭が余ったという。
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
東北怪談の旅(山田野理夫・1974年(昭和49年))
『東北怪談の旅』は、山田野理夫が昭和四十九年に編んだ東北地方の怪談集である。青森・秋田・岩手・宮城・山形・福島の六県に伝わる妖怪や幽霊の話、飢饉と間引にまつわる話、江戸時代の奇談などを、一番から一六三番までの短い話として収める。各話の末尾に県名を記し、恐山や飢饉の記録にふれて東北の怪談と怨念を結びつけるまえがきと、怪談観や霊能者をめぐる回想を記したあとがきを付す。